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2007年7月17日 (火)

地ビール復活の兆し(7.17産経新聞より)

「地ビール」復活の兆し
若者層中心にファン拡大


 創生期のブームが去り、淘汰(とうた)が進んだとされる地ビール業界で、手間暇をかける欧米の伝統的製法を受け継ぎ、厳選した原料を用いた職人かたぎのビール作りが注目されている。のどごしを重視する大手メーカーの商品とは一線を画す、味と香りにこだわったこのビール。20、30代の若者層を中心にファンを広げている。(田辺裕晶)

■広がる人気
 日本各地のたる詰め地ビールを常時40種類以上そろえるパブ「ポパイ」(東京)。平日はほぼ連日、午後8時前には席が埋まる。デザイン関係の仕事をしているという女性(32)は、じっくりグラスを傾けながら「(地ビールは)ここ数年で本当に洗練されてきましたね」と目を細める。

 香り、コク、苦み。職人技で作られた地ビールには、醸造所ごとの個性が色濃く出る。客はまるでワインを味わうように、ゆっくり時間をかけて飲み干す。

 「地ビール誕生から十数年たち、作り手もやっとプロといえるレベルに育ちました。それに連動して、客層も小人数で楽しむ愛好家から、団体で楽しむ一般客まで広がってきました」と代表の青木辰男さん。

 ジャパン・ビアフェスティバルを開催するなど普及啓発に努める「日本地ビール協会」によると、都内では一昨年ごろから地ビールパブが増え続けており、最近は横浜、大阪などにも動きが広がっているという。

 ネット酒販店「うまい酒ねっと!」でも、地ビールの人気が急上昇。運営者の築城忠生さんは「東京を中心に、流行に敏感な若者たちが反応している」と話す。販売量はまだ少ないが、昨年比3、4倍の伸びをみせているという。

■こだわり
 一度はブームが終わったといわれる地ビール。「物珍しさから飲み始めた中高年層が、地ビールの味の多様性に順応できず、『舌に合わない』と大手のビールに戻った」(日本地ビール協会)。創生期ゆえの醸造技術の未熟さや、ブームに便乗したもうけ狙いの参入で、品質の低い地ビールが一部で出回ったことも客離れの一因だったようだ。

 だがその後、地ビールは息を吹き返す。危機意識を持った醸造所が、研究の末に品質の高いビールを作り上げ、食に敏感な若い世代の支持を得るようになったためだ。

 業界では老舗といわれる「サンクトガーレン」(神奈川)。低迷期を乗り切るため、代表の岩本伸久さんは海外の文献を取り寄せ、試行錯誤を重ねた。「おいしいものは世界共通。『日本人に合う味』は考えず、味や香りのバランスの良いビールを作ろうと心がけた」。その結果、醸造技術は向上、国内外のコンテストで数々の賞を獲得している。

■進む二極化
  日本地ビール協会によると、国内の地ビール醸造所は現在約300カ所。うち70~80社は、こだわりのビール作りとネットなどを生かした販売努力で成長著しいが、観光地の土産物屋などを主な販売場所にしている業者は、引き続き苦しい状況が続いているという。

 一方、地ビールパブも数を増やしているとはいえ、扱う品数は限られており、「少ないパイを奪い合っているのが現状」(岩本さん)だ。

 サンクトガーレンでは2年前からバレンタインシーズンに「インペリアルチョコレートスタウト」(チョコレート風味のビール)の限定生産を開始。ネット販売で人気に火がつき、今年は発売開始後1日半で2万本を完売した。岩本さんは「販路を一般の消費者に拡大するためには、まず飲んでもらうための“しかけ”が必要です」と、成長を持続するための課題を語った。

地ビール・・・平成6年、酒税法改正でビールの最低製造数量基準が2000キロリットルから60キロリットルに緩和されたことで、全国各地で誕生した小規模醸造所の造るビール。従来の国産ビールにはなかった味の多様性がファンの心をつかむ一方、少量生産で単価が高く、賞味期限も短いものが多い。このため、大手小売店の流通ルートには乗りにくく、ネット通販や百貨店での販売などに頼らざるをえない状況がある。創生期の「地ビールブーム」は12年ごろ収束、生産量が低下し、廃業する醸造所も出た。

産経新聞HPでも記事が見れます▼
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/shoku/070717/shk070717000.htm

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