きっと勝つマーケティング
「チーム・キットカットのきっと勝つマーケティング」
この著者の関橋さんにお会いして話を伺う機会がありました。
受験生のお守りとして不動の地位を築いた「キットカット」。
しかし数年前までは、競合品(グリコのポッキー)に大きく水を開けられていた地味なロングセラー商品だった。
「キットカット」は、いかにしてパワーブランドの地位を再構築したのか?
そのスタートは、TVCMに頼っていたクリエイティブを、TVCMをやめるという“非常識”からはじまった。
岩井俊二監督のショートフィルム「花とアリス」、175Rの卒業式サプライズライブ、ブレイクタウンレーベルによるBabyBooのCDパック、サクラサクトレイン運行、「きっとサクラサク願いの杜」バーチャル願掛け......など、その手法は広告マーケティングの常識を塗り替えた。
著者:関橋英作さんプロフィール
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著者:関橋英作さんのブログ
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今や慣習ともいうべき「婚約指輪は給料の3ヵ月分」これは、デビアスダイアモンドと関橋さんが仕掛けたもの。
ハーゲンダッツ「Shall we Haagen-Dazs?」、NOVAの鈴木さんシリーズ、これも関橋さんによるもの。
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【関橋さんのお話よりメモ】
■非常識を常識に変えることができることが大きな成功につながる
今までのブランドコミュニケーションにこだわらない。白紙にもどす。
ex)男前豆腐 脇役だった豆腐を主役へ
■Have a break,have a Kitkatの再定義
物理的なブレイク(休憩)から心理的なストレスの解放へ。
物理的なものは取り換えがきく。代替品がたくさんある。
心理的なものはOnly1。
Kitkatというチョコレートではなく、Kitkatのブレイクを体験させる。
■昔 マスマーケティング
知られていることが重要。認知度○%が成功のバロメーター。
↓
今 アクションが求められる(自発的にネット検索、購入する)
モノは売れてなんぼ!
■新しいチャネルで商品との出会いはつくれるか?
消費者は自由。小売の都合で決めたチャネルにこだわらない。
違うカテゴリーで勝負する。ブランドのチャネルは無限。
⇒ 賞味期限のあるものをCDショップで売るタブーを壊す
⇒ 学校を舞台にコンサート(卒業コンサート)
■現象(口コミ)をどうやってつくるか?
・バズ ・・・面白い話。噂話。1回のみ
・バイラル・・・「これ良かったよ~」 信憑性が伴う
↓
広告よりPRが重視される訳
消費者は、知ってるだけのブランドより、強い絆を持ったブランドを自分のことのように話す→本当のバイラル
■ターゲットにどう近づいて、どうターゲットの心を動かすか?
広告(マス)から個告(ターゲット狙い撃ち)へ。
自発性がブランドとの接触を強め(いかにHPに誘導するか)
本物のコンテンツだけが消費者の貴重な時間を使わせることができる(いかに滞在時間を長くするか)。
お金より時間のない人が多い現代では、
消費者の時間をいかに使わせるかが勝負。
■ターゲットは具体的に
最も典型的なターゲットのプリファイリングの罠
⇒よくある例:ターゲットF1層…20才と34才は同じと言っていいのか?
■仲間づくり
押し付けの広告は消費者は去る。
第3者からの発信が消費者の心を動かす。
⇒決して自分で「きっと勝つ」とは言わない。
⇒波紋型ブランディング
キットカット→ホテル → 消費者
→ JR → 消費者
→タワーレコード→消費者
→本郷3丁目 → 消費者
→学校 → 消費者
■ブランドの目指すゴールは“公共性”
公共性のあるブランドは1人歩きできる。
⇒ マックフルーリー
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今週末は、
大学入試のセンター試験。受験生は覚悟を決めるか、ドキドキの頃。
藁にでもすがりたい気持ちを反映して、
受験グッズが大流行です。
昔なら、カツ丼が王様でしたが、
いまは、キットカット。
きっと勝つ、ですね。
そのほかにも、便乗モノが多い。
キッチリトール、ウカールなど、ちょっとあやしい。
キットカットは、だいぶ前から、
受験でホテルに泊まった受験生に、チェックインのとき
「がんばって」の声を添えて、サクラ満開のカードとキットカットを
くれていました。
私のいとこの子供も、去年、遭遇してうれしかった!といってました。
キットカットは、押し売りではなく、ストレスのある状態の受験生を
そっと応援してくれていました。それが、人気の秘密。
ことしは、東大のある本郷3丁目で、
受験生村をつくって、お汁粉や受験フリーペーパーを配っています。
当日は、サクラ満開のタクシーが、
本郷の駅から東大まで、受験生無料で送る。
受験生の立場に立ったやり方が、いいんですね。
受験生の皆さん、ご家族の方、
東大でセンター試験を受ける方、
のぞいてみてください。
受験生の皆さん、がんばって。
(関橋さんブログより)
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キットカットはなぜ受験生のお守りになったのか。
4人に1人の受験生が、センター試験会場に
キットカットをもっていったのはなぜか。
チョコレート・ブランドが彼らの気持ちのブランドに
なったのはなぜか。
そこには、いままでの広告・マーケティングとは
全く違うやり方があった。
ブランドに対する考え方、チームのつくり方、
仕事の進め方、コミュニケーションのやり方、
消費者のとらえ方、チャネルの考え方、
商品のつくり方、など。
「テレビCMの崩壊」という本が話題になったが、
キットカットのケースは、その次にくるもの。
マーケティングの川上である、商品開発から
川下である、広告コミュニケーションにいたるまで、
すべてのプロセスにクリエイティブという考え方を導入。
非常識とも思えるやり方を、
成功によって常識に変えた。
しかし、キットカットのケースは特別なことではない。
変えようと思わなければ、何も変わらないし、
そのためには、誰もやらないことを恐れない勇気と
それを楽しむ仲間を作る。
たったそれだけのこと。
難しいと思ったら、
まず、小さな実験から始める。そうすれば、
必ずそれを手に入れることができる。
(関橋さんブログより)
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【参考データ】
1月~3月のキットカット売上250%。
テレビ露出48、新聞・雑誌露出148媒体(媒体換算費にして7億)
センター試験会場のごみ箱はキットカットの赤い箱で埋め尽くされた。
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