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2015年9月

2015年9月14日 (月)

麹町バルのセミナー「クラフトビールのルーツを探る アメリカ編」に参加してきました <後編>

前編から時間が空いてしまいましたが、後編です。

日本のクラフトビールはなぜここまで普及したのか、を語るうえで欠かせないのがサンクトガーレンの歴史。
後半はここにスポットを当てます。

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サンクトガーレンはもともと飲茶会社の一部門だった。

1988年、サンフランシスコに飲茶屋「カフェパシフィカ」OPEN

1989年、日米を往復する日々の中でカリフォルニアで初めて出会ったクラフトビールに衝撃を受ける。

これを日本でやりたい。どうしたら出来るのかと調べ始める。

国税局に聞くと「年間製造量2000KLをクリアー出来れば良い」と言われる。

つまりは年間2000KL分の酒税を払える能力があるなら造っても良い、ということ。

(ビールの酒税は1L220円なので、1年間で4億4千万円の酒税を支払う能力が必要ということ)

実質、新規の参入は出来なかった。

当時の国税局の資料には「小規模のビール醸造所の乱立は好ましくない」ということが書かれている。

一方のアメリカでは年間1000L未満のビール醸造は趣味で出来た。

1000L以上造るなら免許が必要だった。

1993年3月アメリカでビール免許取得。

カフェパシフィカを改造してビール造り開始。

それを日本でも売ろうとしたが、当時は輸入ビールもほとんど無い時代。

バドワイザー、ハイネケンくらいで、ギネスもまだ日本ではほとんど流通していなかった。

そんな中でいきなりアメリカからビールを持ってきて販売しても難しいだろうと思い、

1993年12月六本木の飲茶店を改造し、ノンアルコールビールの醸造を開始。
店内で醸造したノンアルコールビールと、アメリカから逆輸入したビールを販売。

日本のクラフトビールの扉が開いた瞬間だった。

先代の社長(岩本の父)が関根さんに営業に行ったことも(笑)。

1994年、TIMEに掲載。日本の産業規制の象徴。
「岩本のビール造りの夢はかなった。ただし場所は東京ではない。ここアメリカで。」と結ばれた記事。

それがきっかけになり、1994年日本で地ビール解禁。

でもサンクトガーレンは日本には来なかった。

アメリカではじめたばかりというのもあったし、
解禁されても日本の税制はなんら変わらずそんな状態で大手ビールと戦えるとは思わなかった。

アメリカではバドワイザーの酒税は1L28円なのに対し、小規模醸造のメーカーは1L13円。

小規模でも大手と戦えるようになっていた。

でもやっぱり日本でやりたい。と、1997年 日本(厚木)に拠点を移す。

販路の開拓はどうやって?
・自分たちの店(飲茶店)で
・地ビールブームに乗って

ブームの終焉とともに
・地ビールは高くてまずい
・地方のお土産物
というイメージが出来てしまった。


<以下、関根さんコメント>

百貨店時代、ビール嫌いの人をいかにビール好きにするかに苦心した。

ビール好きの人は、自分で情報を集めて勉強してビールを買ってくれる。

そういった意味で1番印象に残っているのが2006年発売のインペリアルチョコレートスタウト。

6000本が4日間で完売。翌年は2万本があっという間に完売した。

これまでビールを買ってくれていたギークの人が入手出来ないくらい売れたビールで、衝撃的だった。

メディアの力を知った。

だから、自分は今ビールのアドバイザーをしながら、テレビのエキストラ活動をしている。

いつかビールタレントみたいになれたら(笑)。

本日はビアセミナーのご参加誠にありがとうございました!特別ゲストのサンクトガーレン岩本社長をお呼びしてのセミナー&懇親会、とても盛り上がりました!

Posted by 麹町バル on 2015年8月30日


参加者の皆様、ありがとうございました!


麹町バルのビアセミナーは月に1度のペースで開催されています。
興味のある方はお店のFacebookで次の開催情報のチェックを。

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2015年9月 4日 (金)

【9月7日まで】伊勢丹クラフトビールフェアに行って来た<5日よりお会計方法が変わります>

9月7日(月)まで開催中の、伊勢丹クラフトビールフェア「Feel The Craft Beer」に行ってきました。

会場は6階の催事場。ビールタンクを思わせる装飾にテンション上がります。

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会場内では北海道から沖縄まで、約20社のクラフトビールメーカーがカウンターを構えて樽生ビールを提供しています。
ほとんどが1杯500円程度。

スタッフもそれぞれのメーカーから出張で来ているため、ビールの造り手さんに直接ビールを注いでもらえるチャンスも。
昨日は長野の志賀高原ビール、愛知県の金しゃちビール、そして我がサンクトガーレンのブルワーが自らビールを注いでいました。

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会場の樽生ビールはチケット制になっていて、会場内に数か所あるチケットカウンターで飲みたいビールの食券を買って…

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それをブースに持って行って、ビールと引き換えてもらうという仕組み…でしたが、この仕組みが「分かり辛い」とのご意見が多く5日(土)からブースごとにお会計出来る仕組みに変更になる予定です。

合わせてサンクトガーレンブースでは、4杯選べる飲み比べセットの販売を開始します。

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サンクトガーレンでは、このイベントに合わせ「Hop Relax」という三越伊勢丹オリジナルのIPAビールが発売になっています。

数値上では、サンクトガーレンのレギュラービール内で最も苦味の強いビール「YOKOHAMA XPA」を上回る苦味をもったビールなのですが、アロマホップに使用したアマリロ、ガーゴイルホップの甘やかなシトラスの香がその苦味を感じさせない仕上がりになっています。

豊かなホップの香りに心が解きほぐれるような、そんな想いを描いて造ったビールです。

実際に飲まれた方の感想をご紹介。

9月下旬から三越伊勢丹の他の店舗でもボトルが並ぶ予定ですが、現時点では樽生で飲めるのもボトルが買えるのも新宿伊勢丹のみです。

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会場内ではビールの他に、ビールに合うフードも目白押し。

気軽につまめるプレッツェルや、ホットドッグ、

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1本から買えるバラエティ豊かな春巻き、

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平日限定かもしれませんが、全ての春巻きがセットになって500円!というお得な一皿も。

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にんにくの香りの誘惑がすごい、ハワイのガーリックシュリンプ

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中でも1番注目されているのが恐らく、ロケットニュースさんでも紹介されていた「モツバーガー」。
【激レア】日本ではめったに食べられない!『イタリア風モツバーガー』が新宿伊勢丹で期間限定販売中(お写真もこちらから拝借)

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実は私、売切れで食べれていません。

毎日早い時間に完売となっているようなので、狙っている方は1番にこちらのブースに行かれることをお薦めします。

あまりにモツバーガーが早くに売切れとなってしまうため急遽メニュー化されたというサラミとハムのバーガー。
ワンコイン(500円)!強めの塩気でビールが進む進む。

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会場内には座って飲んで食べられるスペースもちょこちょこありますし、気軽に立ち飲み出来るスペースも。

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明日(5日)は岩本も私も会場でビールを注いでいる予定です。
ぜひ1杯お気軽にお立ち寄り下さい。

このイベントは樽生ビールのオーダーストップが19時半と少し早いので(最終日は18時閉場なのでオーダーストップは恐らく17時半頃かと思います)、飲み足りない…と感じた方はこちらのお店はいかがでしょう。

新宿伊勢丹から徒歩約4分 「THE GRIFON新宿店」 湘南ゴールド樽生常設店

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2015年9月 3日 (木)

麹町バルのセミナー「クラフトビールのルーツを探る アメリカ編」に参加してきました <前編>


講師 関根 芳雄さんの紹介

25年前、日本にベルギービールは3種類しかなかった。
ティママン、サタン、シメイ

そんな頃シメイに衝撃を受けビールの世界に入った。
東武百貨店の「ワールドビールコーナー」の販売現場に約20年。


ここから本題。


■クラフトビールとは?

小規模で、ビール職人が造る、高品質のビール
→日本では正確な定義はまだない

アメリカでは定義されている。
1、年間生産量が600万バレル(約70万キロリットル)以下であること
2、独立資本で
3、伝統的であること(主力ビールがが麦芽100%であること)


■クラフトビールの魅力

1、希少性
限られた生産性、季節限定品

2、多様性
100を超える種類、醸造家の数だけビールがある

3、造り手の顔が見える
造り手と飲み手の距離が近い


■クラフトビールの楽しみ方

1.鮮度
なるべく新しいもの。買い溜めはしない。

2.管理
特に温度。ちゃんと冷蔵庫で保管すること。
温度が10度違うと3倍スピードで劣化すると言われている。

3.飲み比べが出来る


■アメリカのビールの歴史

○アメリカのビールの歴史はメソポタミア文明より古いという説(約1万年前)

「チチャ」 トウモロコシを発酵させたもの
「マサト」 芋の粉を発酵させたもの


○1848年~ ゴールドラッシュ(日本の江戸時代)

カリフォルニアで砂金が発見されたことを機に、一攫千金を目指して世界中から人が押し寄せた。
人口200人程度の街が、1852年に人口20万人に急増。

その当時誕生したのが「スチームビール」。
通常は低温で発酵させるラガー酵母を高温で発酵させたビール。

ドイツの移民がカリフォルニアでドイツと同じようにビールをつくろうとしたものの
当時はまだ冷蔵設備が整っていなかったため、やむを得ず高温で発酵させたのがはじまり。

アメリカクラフトビールの元祖。20世紀初頭には100箇所の醸造所でつくられた。


○アメリカ独立後に禁酒運動が盛んに。

禁酒法 1920~1933年。
健康上の理由や、第一次世界大戦の敵国がビール大国ドイツであったことなどが理由。

闇ビール
「ニアビール」 ビールに加水したもの。アルコール0.5%以下なら合法だった。
「ニードルビール」 ニアビールの樽に注射針(ニードル)でアルコールを添加
使われたのが毒性の強い産業用アルコールが多く失明する人も


○1900年代 アメリカのビール産業復活

1929年 大恐慌

1933年 禁酒法が廃止に(酒税での税収、雇用拡大の期待)

1938年  500カ所のビール醸造所。オランダ「ハイネケン」などビールの輸入もはじまる。


・ビール会社の大企業化
1500あった小さな醸造所は吸収合併され、1970年代には大手3社が支配するように。
アンハイザー・ブッシュ、ミラー、クアーズ

・ライトビール戦争
ミラーライトが火付役

・輸入ビールのシェア拡大
1995年 5% → 1998年 8%

アメリカでクラフトビールという言葉が誕生したのは1997、8年頃。
それまではマイクロブルワリー

・ホームブルワーの台頭
1970年代から増えた個人ブルワー


○アメリカのクラフトビール革命:3つのポイント

1、
1972年 オレゴンでカスケードホップの誕生
それまでのホップとは全く異なるキャラクターをもったホップ。
アメリカのクラフトビールを一躍有名に。

2、
1980年 カリフォルニア「シェラネバダ」誕生
シェラネバダペールエールはあまりにも有名

3、
1988年 ニューヨーク「ブルックリン」誕生
ブルックリンラガー
大都市でビールが出来る衝撃。世界で初めてビールの工場見学を行った。



■現在のアメリカのクラフトビールの売上高

2013年  140億ドル(約1兆2270億円)前年比20%↑
クラフトビール醸造所 2768カ所
ビール全体の14%のシェアをクラフトビールが占める

日本ではビール全ての売上で1兆5千億円くらい(アメリカのクラフトビールの規模くらい)
クラフトビールの数  200~300カ所
(醸造免許をもっていても稼働していないところもあり、正確な数が把握できない)
シェアは1%に満たない。

都道府県別で見ると北海道が1番多く16か所。
次に神奈川と静岡で13か所ある。
逆に高知、佐賀、長崎 が現在ブルワリーがない都市。

現在首都圏にビアパブは216カ所あると言われる
一昨年のデータなので今はもっと増えているかも。
2006年頃は片手で数えられるほどしかなかった。ポパイ、ラ・カシェット、蔵くら…。

最近の日本のビールのトピック
○酒税改正  現在350mlで77円 → 55円に平均化(ビール、発泡酒)
○ビールの定義の見直し ← EUの圧力
日本ではビールの原料に認められてない副原料(スパイス、果実)を使うことが多いベルギービールは発泡酒だらけ

アメリカの酒税は州ごとに違う
例えばアメリカニューヨークでは350mlで2円(日本は77円)。

Unnamed

岩本も登場する後半は次の記事にてご紹介。

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