麹町バルのセミナー「クラフトビールのルーツを探る アメリカ編」に参加してきました <前編>
講師 関根 芳雄さんの紹介
25年前、日本にベルギービールは3種類しかなかった。
ティママン、サタン、シメイ
そんな頃シメイに衝撃を受けビールの世界に入った。
東武百貨店の「ワールドビールコーナー」の販売現場に約20年。
ここから本題。
■クラフトビールとは?
小規模で、ビール職人が造る、高品質のビール
→日本では正確な定義はまだない
アメリカでは定義されている。
1、年間生産量が600万バレル(約70万キロリットル)以下であること
2、独立資本で
3、伝統的であること(主力ビールがが麦芽100%であること)
■クラフトビールの魅力
1、希少性
限られた生産性、季節限定品
2、多様性
100を超える種類、醸造家の数だけビールがある
3、造り手の顔が見える
造り手と飲み手の距離が近い
■クラフトビールの楽しみ方
1.鮮度
なるべく新しいもの。買い溜めはしない。
2.管理
特に温度。ちゃんと冷蔵庫で保管すること。
温度が10度違うと3倍スピードで劣化すると言われている。
3.飲み比べが出来る
■アメリカのビールの歴史
○アメリカのビールの歴史はメソポタミア文明より古いという説(約1万年前)
「チチャ」 トウモロコシを発酵させたもの
「マサト」 芋の粉を発酵させたもの
○1848年~ ゴールドラッシュ(日本の江戸時代)
カリフォルニアで砂金が発見されたことを機に、一攫千金を目指して世界中から人が押し寄せた。
人口200人程度の街が、1852年に人口20万人に急増。
その当時誕生したのが「スチームビール」。
通常は低温で発酵させるラガー酵母を高温で発酵させたビール。
ドイツの移民がカリフォルニアでドイツと同じようにビールをつくろうとしたものの
当時はまだ冷蔵設備が整っていなかったため、やむを得ず高温で発酵させたのがはじまり。
アメリカクラフトビールの元祖。20世紀初頭には100箇所の醸造所でつくられた。
○アメリカ独立後に禁酒運動が盛んに。
禁酒法 1920~1933年。
健康上の理由や、第一次世界大戦の敵国がビール大国ドイツであったことなどが理由。
闇ビール
「ニアビール」 ビールに加水したもの。アルコール0.5%以下なら合法だった。
「ニードルビール」 ニアビールの樽に注射針(ニードル)でアルコールを添加
使われたのが毒性の強い産業用アルコールが多く失明する人も
○1900年代 アメリカのビール産業復活
1929年 大恐慌
1933年 禁酒法が廃止に(酒税での税収、雇用拡大の期待)
1938年 500カ所のビール醸造所。オランダ「ハイネケン」などビールの輸入もはじまる。
・ビール会社の大企業化
1500あった小さな醸造所は吸収合併され、1970年代には大手3社が支配するように。
アンハイザー・ブッシュ、ミラー、クアーズ
・ライトビール戦争
ミラーライトが火付役
・輸入ビールのシェア拡大
1995年 5% → 1998年 8%
アメリカでクラフトビールという言葉が誕生したのは1997、8年頃。
それまではマイクロブルワリー
・ホームブルワーの台頭
1970年代から増えた個人ブルワー
○アメリカのクラフトビール革命:3つのポイント
1、
1972年 オレゴンでカスケードホップの誕生
それまでのホップとは全く異なるキャラクターをもったホップ。
アメリカのクラフトビールを一躍有名に。
2、
1980年 カリフォルニア「シェラネバダ」誕生
シェラネバダペールエールはあまりにも有名
3、
1988年 ニューヨーク「ブルックリン」誕生
ブルックリンラガー
大都市でビールが出来る衝撃。世界で初めてビールの工場見学を行った。
■現在のアメリカのクラフトビールの売上高
2013年 140億ドル(約1兆2270億円)前年比20%↑
クラフトビール醸造所 2768カ所
ビール全体の14%のシェアをクラフトビールが占める
日本ではビール全ての売上で1兆5千億円くらい(アメリカのクラフトビールの規模くらい)
クラフトビールの数 200~300カ所
(醸造免許をもっていても稼働していないところもあり、正確な数が把握できない)
シェアは1%に満たない。
都道府県別で見ると北海道が1番多く16か所。
次に神奈川と静岡で13か所ある。
逆に高知、佐賀、長崎 が現在ブルワリーがない都市。
現在首都圏にビアパブは216カ所あると言われる
一昨年のデータなので今はもっと増えているかも。
2006年頃は片手で数えられるほどしかなかった。ポパイ、ラ・カシェット、蔵くら…。
最近の日本のビールのトピック
○酒税改正 現在350mlで77円 → 55円に平均化(ビール、発泡酒)
○ビールの定義の見直し ← EUの圧力
日本ではビールの原料に認められてない副原料(スパイス、果実)を使うことが多いベルギービールは発泡酒だらけ
アメリカの酒税は州ごとに違う
例えばアメリカニューヨークでは350mlで2円(日本は77円)。
岩本も登場する後半は次の記事にてご紹介。
| 固定リンク
« ビール税率統一化は地ビール・輸入ビールにとって逆風ではなく、追い風ですよ! @IRORIO_JP さん | トップページ | 【9月7日まで】伊勢丹クラフトビールフェアに行って来た<5日よりお会計方法が変わります> »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント