とれたてホップ使用ビールの発売が、サンクトガーレンとKIRINで1か月もずれる理由。
昨日、キリンビールから「一番搾り とれたてホップ」の2019年版が発売になりましたね。
2019年の夏に収穫したホップを使ったもので、通常の一番搾りよりもホップの香りが際立っているとされています。
早速頂きましたが、缶を開けた瞬間からホップの青草のような香りがふわっとして「おぉっ!」と声が漏れました。
グラスに注いだほうが香りが広がるので、ぜひグラスで楽しみたいビールです。
サンクトガーレンからも2019年の夏に収穫したホップを使用した「FRESH HOP IPA(フレッシュホップアイピーエー)」を発売中です。
しかしながら、工場の在庫は残りわずかです。
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同じ2019年の夏に収穫したホップを使用したビールなのに、一方は発売したばかりで、もう一方は完売間近。
なぜ1か月以上も発売時期に差が出るのでしょうか。
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それこそが、エールビールとラガービールの違いです。
クラフトビールの魅力の1つは、スタイルの多様性にあると言われています。
IPA、ペールエール、スタウト、ヴァイツェン、ピルスナー…、ビールのスタイルは100を超えますが、大きくはラガー(Lager)とエール(Ale)に分類できます。
KIRINやアサヒといった大手ビールの主力商品はラガースタイルなのに対し、サンクトガーレンは創業以来エールスタイル一貫主義。
ペールエールやYOKOHAMA XPA(IPA)はもちろん、季節の果物を使ったフルーツビールも、11月21日解禁の麦のワインも全てエールスタイルのビールです。
上面発酵でつくる「エールビール」は高温で一気に発酵させます。
3~5日程度の主発酵を経て、1~2週間程度のコンディション(二次発酵、熟成という場合も)を経て完成です。
一方、下面発酵でつくる「ラガービール」は低温でゆっくり発酵させます。
1週間程度の主発酵を経て、1~2か月程度のコンディション(二次熟成、熟成)を経て完成します。
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エールタイプのビールの場合、8月初旬に収穫したホップをすぐ仕込みに使用すると8月下旬にはビールが完成します。
その一方で、ラガータイプのビールは、8月初旬に収穫したホップをすぐに仕込みに使用しても完成は10月になります。
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これが同じ8月に収穫したホップを使っているのに発売日に大きく差が出る理由です。
肝心のラガーとエールの味わいの違いですが、1番分かり易いのは“香り”です。
ビール酵母は高温で発酵させると果実のような香りの成分“エステル”を生成するため、一般的にエールのほうがフルーティーな香りに満ちたビールとなります。
逆にラガービールはすっきりとシンプルな味わいのビールになります。
今の日本ではラガーのほうが気軽に手に入りやすいですが、エールももっと気軽に買えるようになって、そのときの気分やシーンでチョイスして楽しめるようになると素敵ですね。
<まとめ>
■エールスタイルのビール
・サンクトガーレンのつくっているビール。
・高温で一気に発酵させるため、3週間程度で完成。
・ビール酵母は高温で発酵させるほど、フルーティーな香りの成分“エステル”を生成するため香りが豊か。
■ラガースタイルのビール
・大手ビール会社の主力ビール。
・低温でゆっくり発酵させるため、完成に2か月かかる。
→だから同じタイミングで収穫したホップを使ったビールでも、エールと比べると発売が1か月以上遅くなる
・すっきりシンプルな味わい。
今年のフレッシュホップIPAの工場在庫は残り少なくなっていますが、今なら一番搾りとれたてホップとの飲み比べが楽しめます。ぜひ!
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