Twitterで黒ビールの酸味についての話題が出たので、簡単にざっくりまとめてみます。
世界中に数あるビールの中には酸味を伴うスタイル(種類)が3つほどあります。
黒ビール・小麦ビール・ランビックです。1つずつざっくり解説していきます。
■ 黒ビール
(一例:スタウト、シュバルツ、ポーターと名前に付くもの)
黒ビールはコーヒー豆のように高温焙煎した黒い麦芽で造ります。
(コーヒー豆の生のものは緑色で、高温焙煎することで黒くなります)
通常のゴールド色のビールに使用する「ベースモルト」は約85度で焙煎(左)。
黒ビールに使う「ブラックモルト」は、約200度の高温で焙煎(右)。
この黒いモルトを使うビールには程度の差はあれど、どれもコーヒーに似たような酸味が出ます。
(キリマンジャロ、 モカ、 コロンビアに似たような酸味)
その微かな酸味が、黒ビールの重厚感に奥行きを与えているという説もあります。
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例えば、サッポロビールがバレンタインシーズンに出したチョコビールの試飲レポート
(by東京ウォーカー)でも、「甘酸っぱい」と表現されていますし、

甘酸っぱい!注目のチョコ酒“ショコラブルワリー”試飲レポート
http://news.walkerplus.com/2009/0113/11/
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ソムリエによるアサヒ 黒生 のテイスティングでも、
まるでバタートーストにチョコスプレッドを塗ったような幸せな甘みだが、
スッと1本酸が通っていることで全体が引き締まってもったりとした重さはない。
と表現されています。
http://journal.mycom.co.jp/special/2009/beer/002.html
■ 小麦のビール
(一例:ヴァイツェン、ヴァイス、ホワイトと名前に付くもの)
小麦のビールにある酸味はヨーグルトとか・・・乳製品のような雰囲気。
爽やかな酸味、軽い酸味、と表現されるように
顔をしかめるほど強烈なものではなく、
飲んで程よい、心地よい刺激となっている程度のレベルです。
ちなみにサンクトガーレンでは小麦ビールは年に1度、10月にしか造っていません。
▼世界的に有名な小麦ビールたち
(もちろんこれらも軽い酸味のあるビールです)
■ ランビック
ベルギーを代表するビールのスタイルの1つで、
野生酵母の発酵による強い酸味が特徴のビールです。
その酸っぱさは黒ビール、小麦ビールの比ではなく
はっきりと感じられるほど強く、酢に近い感じです。
ビールの概念をぶち壊すほど個性の強い味わい。
飲み進めるうちに不思議とクセになり、疲れているときとかに
妙に飲みたくなるビールだったりもします。
<ランビックの色々>
◎グーズ・・・熟成させたランビックと発酵を終えたばかりの
若いランビックをブレンドし、ボトルに詰めて二次発酵させたもの。
◎ファロ・・・キャンディーシュガーなどを加えて甘味をつけたランビック。
◎フルーツ
フランボワーズ・・・木苺を漬け込んだランビック
クリーク・・・サンクランボを漬け込んだランビック
※フルーツビネガーのようです(◎´∀`)ノ
ランビックはベルギーの気候だからこそ造れるビールで(野生酵母による自然発酵)
日本で造っているところはありませんので、興味のある方はオンラインショップや、
お近くのビアバー(特にベルギービールが置いてあるところ)を探してみて下さい。
■ 酸味のあるビール<まとめ>
種類 |
酸味の発生源 |
酸味の特徴・程度 |
黒ビール |
高温焙煎麦芽に由来 |
コーヒーと似たような酸味で、微かに感じる程度が望ましい。 |
小麦ビール |
小麦麦芽に由来 |
乳製品のような爽やかで、心地よい。程度は軽いほうが望ましい。 |
ランビック |
自然発酵(野生酵母)に由来 |
酢に近い酸っぱさ。はっきりと、かなり強く感じる。 |
黒ビールや小麦ビールの酸味は、周辺条件(炭酸レベル、温度、鮮度・・・etc)によってもかなり左右されます。
(例えば、比較的鮮度の良いビールは酸味が出にくい傾向がある)
その人の体調や、そのビールを飲む前に食べていたものによっても感じ方が変わります。
また、酸味を感じないからといって間違っているわけではありません。
ただし、ランビックの酸味を感じられないのはまずいです。。。
上記を意識しながら飲むと、黒ビールや小麦ビールの味わいが
また違って感じられるかも・・・しれません(゚▽゚*)